第289話 ぶんぶん飛んだ

文字数 539文字

 西野皓三氏が亡くなったという記事が死亡欄にあった。94歳だから大往生と言えるだろう。宝塚歌劇団のバレエの講師を経て、西野バレエ団を創設した。俳優の金井克子、由美かおる、奈美悦子などを輩出した。そのあと、西野流呼吸法を教える西野塾を開いた。



 独自の呼吸法で、若い時に帝塚山までその塾に一年ほど通った経験がある。見学に行くと、バレエの教室で人がぶんぶん飛んでいる。若い女の子がキャッ!叫びながら、猫のように跳びあがっている。びっくりした。最初はやらせかと思ったが、まさか自分のために多くの人が飛ぶわけはない。それで入会しのだが、三、四ヶ月した頃から自分のからだに反応があり、半年を経過した頃には自分もぶんぶん飛び、一気に背面の壁まで飛ばされるようになった。その理由を簡単にいうと、磁石のようなもので(-と-、+と+)、人間が出す気と気がぶつかり合うことによって起こるのだ。ぶんぶん飛んだ後は気分爽快で、気持ちよく阪神高速を飛ばして帰っていて、後ろでサイレンを鳴らすパトカーに捕まった思い出もよみがえってきた。
 一度、西野さんとも手合わせをしたこともあったと思う。当時、テレビにも紹介されたが、どうもやらせにしか見えなかったのだろう。体験しないと分からないことも世の中にはあるのだ。



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