第64話 蛇ににらまれた蛙

文字数 623文字

 わが阪神は、蛇ににらまれた蛙のようになりつつある。言うまでもなく、蛇はにっくき巨人だ。今年のペナントレースは、佐藤や中野、伊藤といったルーキーと、マルテやサンズ、ガンケル、スアレスといった助っ人の活躍により、16年ぶりの優勝かと思われた。なのにだ。やはり甘かった。ここにきてあっという間に、急追する巨人が手の届くところまで迫ってきた。何といってもわが阪神は、巨人に弱いのだ。ほかのチームとでは互角以上に戦えるのに、巨人と聞いただけビビッてしまう。一昨日の巨人戦がまさしくそうだった。実力を出し切ることができなくなるのだ。菅野以外の巨人投手陣は、はっきりいってたいしたことがない。なのに、あんな高橋のような若造に苦も無くひねられてしまった。阪神甲子園球場の上空にはプレッシャーという雲がやってきたようだ。いまから意識過剰になってどうする。
 2012年からずっと巨人に負け越しているし、通算成績は巨人にはるかに及ばない。井の中の蛙と言われても仕方がないのだ。先日も書いたように、残りの三連戦を残してオリンピック休暇に入る。いかに矢野が立て直すかだが、星野のような鉄拳制裁を覚悟した采配に徹しきれるかが問われている。矢野は温情を捨ててかからなければダメだと思う。原の冷酷さを見習う時期に来ているようだ。
 昨日、今年の阪神は少し違うと意地を見せた。9回ツーアウトから大逆転、試合を決めたのは優勝のカギを握る男、大山だった。優勝争いの本番はまだまだ先だ。



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