第139話 忍び寄る老化

文字数 535文字

 老化がひたひたと自分に忍び寄っていることを感じる。 以前に書いた「ハメマラ」は言うに及ばず、からだのあちこちにその傾向が顕著になっているようだ。手や足腰、皮膚、睡眠、排尿、食事量、物忘れ、勝手な思い込み、死への不安、などなど、すべてにわたって減退傾向にある。本月をもって四捨五入すれば、80の大台に突入する。至極当然の成り行きだが、まだどこかにそんな自分を認めたくないところがある。
 人間は自覚の部分と、他人を見て自分を知る部分の合計で成り立っているのかもしれない。身近にいる家内とお互いの歳とからだの状況を見比べながらの日々が続いている。これから先自分たちはいったいどうなってしまうのだろう。今日の読売の投稿欄に、お互いの風呂の長さで心配になってのぞきに行くという小文があった。当方では、それに代わってお互いのイビキがその役目をはたしている。
 昨日、家内が朝ドラの「おかえりモネ」を見ながらこんなことを言っていた。「私たちは、この年齢のころ、こんな立派なことを考えていたのかしら?」、と。これはドラマだからこういう風にしないと成り立たないんだ、と答えておいた。自分たちはあの阪神大震災にまともに遭遇した経験がある。でも、その日暮らしで生活をしていたように思うのだが。



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