第559話 薬づけの日々

文字数 410文字

 淡路で高齢者の世話をしていたときにも、老いた両親が袋の中から取り出して日々の薬を飲んでいたときにも、まるで薬づけだなと、その時の自分は冷ややかな目で見ていた。なのに、今は自分も全く同じ状況にある。薬がないと安心できない、出来るだけたくさんの薬をもらいたい、薬に完全にたよりきっている、情けないそんな自分が今の姿だ。


   お店の玄関

 ずっと以前から、今の医師は常々薬の手配師だと思っていた。数多い薬剤の中から何をどう選ぶかが医者の役割だと思っているふしがある。長年かかっていた総合病院の医師は、薬剤ハンドブックを開いてどれにしようかと自分に相談したこともある。今回の皮膚科の名医(?)の机の前には薬剤の標本がでんとある。
 最近の医師は、自ら注射することもない。注射を打つ専門の看護師がいる。昔は、家の近所には家族がかかる安心のかかり付けの医者がいた。その先生の打っくれた注射は本当によく効いた記憶がある。


   これも玄関

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