第620話 「あちらにいる鬼」

文字数 436文字

 「あちらにいる鬼」を読了した。何と書いた人が、不倫相手の作家(井上光晴)の娘(井上荒野)だ。寂聴の生前は、不倫相手の妻や娘とも仲がすこぶる良かったという。今の世の中では格好のメディアの餌食になり、袋叩きにあってもなんらおかしくない状況の中で堂々とその関係を貫き通した寂聴に驚嘆するしかない。



 子供と夫を捨てて出奔し、自由奔放に恋愛を重ねる。出家してからは辻説法で仏教を説き、テレビで話題を振りまく。世間にも言いたいことをいい、やりたいことやりつくす。小説家としても大成功を収め、それでいて99歳の大往生。なんという人間だろうと思う。だからこそこの奇妙な三角関係が成立したのだろう。何とも羨ましいとしかいいようがない。メディアの格好の標的になってもおかしくないのに、逆にメディアは利用されている。偉人とはこのような人のことを言うのだろう。
 それにしても、お釈迦様の説く仏教っていったいなんなんだろうと首を傾げたくなる。



 寂聴も井上光晴もその妻も寂聴が開いた霊園に眠っている


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