第262話 蠟梅

文字数 456文字

 蠟梅の匂いが好きだ。家内も先日から蠟梅の枝をもらってきては、玄関に置いてくれているのだが、その蕾みがふくらまない。昨日もウオークの途中に蠟梅の枝を探してきたけれど、今回は咲いてくれるだろうか。

 今日、水彩の教室に入ったとたん、蠟梅のあの強烈な香りが漂ってきた。先生が自宅の蠟梅の枝をカットして持ってこられたのだ。厚かましいとは思ったが、先着順の特権で「これを描かしてください!」と申し出、描くこととした。描きながらも濃密な蠟梅のいい匂いが漂ってくる。ほんとにいい匂いだ。集中して描く。



 あっという間に時間が過ぎ、終わる頃になって蠟梅の花の構造が見えてきた。何とか蠟梅らしくなったようだ。先生に「この蠟梅、もらって帰っていいですか?」と、問うと「もって帰ってもらおうと思っていたの!」と、うれしいお言葉。
 自宅に帰り、さっそく水道水ではなく、伊丹の丹水をグラスに注ぎ、蠟梅を玄関に生ける。家内がもう少ししたら帰ってくる。玄関での驚きの声が聞えてくるだろうことを、このNovel Days を書きながら待っている。






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