第617話 八冠フィーバー

文字数 487文字

 八冠フィーバーが起きている。もちろん藤井聡太が強いからなのだが、彼の(弱冠21歳)持つ謙虚さ、賢さ、落ち着き、物言いなどの総合的なものもあると思う。羽生さんが強かった時に持っていた鋭さが見えないのがまたいい。女性に人気があるのはそのあたりだろう。また、師匠である杉本昌隆との絶妙なコンビもいい雰囲気をかもしだしている。



 永瀬との対局、第三、四局と続けて最終番(秒読み)での大逆転が起こった。勝利インタビューに凄いことを彼は言っていた。それは自分が負けるであろう時に、最後の対抗策として「局面を複雑にする」ということだった。それができる最大の理由は彼の持つ詰め将棋力だ。詰め将棋選手権(プロも参加)で2015年から2019年まで五連覇している。彼は自分で難解な詰め将棋も簡単に作ることができるという。



 最終盤で自分の玉が15手で詰まされるとする。これは相手も分かっている。ならば、その局面を17手、19手、21手と複雑にすれば、秒読み段階で相手も迷ってしまう。永瀬に最後の手段としてこれを仕掛けたのだ。これが大逆転を生んだ秘密だった。何ともヘボな自分には想像もつかない話だ。



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