第220話 赤木さんの訴訟

文字数 606文字

 赤木さんの訴訟は、国が全面的に損害賠償を認めるということによって集結した。赤木さんにとっては、お金を払えばそれでいいという国の態度に不満は残るだろう。しかし、もう赤木さんのご主人はもう戻ってこない。いつまでも引きずることなく、気持ちを切り替える時かも知れないと思う。理不尽なことをいつまでも持ち続けても、これが完全に消えることはない。

 バブルの時期に、自分は大きな借金を背負い、銀行の理不尽さに訴訟を考えたことがあった。何度考えても納得がいかなかった。その時に弁護士さんに言われた言葉が忘れられない。
 「今回の一連のバブル騒動を修復するのに、国は銀行を守り、バブルの被害者は切り捨てたのです。これ以上戦うことは、国と戦うことになります。」と。銀行を守らなければ、国自体が潰れるという事態になっていたのだ。どちらを守るかと考えれば、当然の成り行きだと今では思える。実質、ほとんどの銀行が国から金を借りる形で生き延びたのだ。

 今回の赤木さんのことは、国が謝るという異例の出来事だと思う。お金でもって謝るとしか国としては言えない事情からの結論だと思う。国はなかなか謝ることはない。国は法人格と同様、実体のない作り出されたものだから。誤りの代わりにお金を差し出したのだ。誠に赤木さんの心情を読み取ることはできないけれど、自分はそんな風に思う。
 安倍首相の引き起こした、森友問題の犠牲者になられたことだけは明白なことだ。



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