第546話 ミチクサ先生

文字数 450文字

 今、伊集院静の「ミチクサ先生、上下」を読んでいる。下巻の三分の一ぐらいのところだろうか。この本は、氏の作家としての総仕上げとも言えるエンターメイント小説のように思える。彼の作品は、人を楽しませるという視点で書かれているものが多い。だから、自分は氏の小説が好きなのかも知れない。時代の暗部を掘り下げるような小説はあまり読みたくない。





 小説家とは、大変な勉強家なのだと思う。夏目漱石、正岡子規という二人の主人公、彼らに集う様々な人々、時代背景を知り尽くさなければ本は書けない。これらを調べ尽くして、一つの小説に仕上げるのは大変な時間と作業が必要なのだろうと思う。明治という新生日本が、まるで絵巻物のように生き生きときらびやかに描かれている。明治の日本は希望のかたまりのように見える。一頁、一頁を大切にしながら読んでいる。先を追って少しでも速く読みたいものもあれば、このようにじっくりと考えながら読みたい本もある。
 今の自分は、この二人によって創りだされた小説と俳句という世界で遊ばせてもらっているのだ。





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