第182話 あと一本の出ない阪神

文字数 462文字

 あと一本の出ない阪神が、巨人に負けて今年のシーズンは終了した。交流戦まであれほど好調だった阪神が、嘘のように、悪夢のように失速し、CSにも勝ち残れなかった。
 あそこで一本出ていれば、あそこで大山が打てば、マルテとサンズが前半戦のように頑張ってくれれば、あの場面でエラーがなければ、そんな思いばかりが残る今年の阪神の幕切れだった。
 前半戦の阪神はいったい何だったんだ。佐藤がバカバカ打ち、負けずに新人の中野や伊藤が大活躍、近本と中野ばかりでなく塁に出たものみんながスキをついて次の塁を狙う、打線に切れ目がなし、どこからでも点が取れる、マルテとサンズが出たランナーをことごとくかえす、後ろの三回は一点あれば勝ち、そんな夢のように強かった阪神がまさかの大変身、大転落。
 挙句の果てに後半の矢野コンピューターは誤作動ばかり。佐藤を見限り、大山をつぶし、要の梅野まで日干し、采配にばらつきが出てしまった。選手への信頼という点で、ヤクルトの高津との差が歴然としてしまった。

 まあ、例年よりは最後まで楽しませてくれたことで良しとするか。



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