第２２６話　ザ・ベストテレビ２０２１

　ザ・ベストテレビ２０２１の作品を三本見た。今年に放映された優秀ドキュメント番組だ。残念ながら、ＢＳでの放送で地上波では取り上げられていない。
　地上波は、視聴率優先のくだらない情報番組やドラマが多い中で、ほんの一握りでも上質な番組を作ろうとする民放のディレクターがいることは嬉しいことだ。




　「面会報告」メーテレ、「おいでや！親子食堂へ」ＮＨＫ、「芸術の価値　舞踊家金森穣16年の闘い」ＢＳＮの三本だ。どれもこれも、視聴率を考えるととても難しいと思えるものばかりで、陽のあたらない、特殊な、芸術性の高い番組だ。とてもではないが、ＮＨＫでなければ見送られるだろうテーマばかり。派手さはないが、内容的には質の高い、こころ温まるものばかりで、地上波に流しても見ごたえがあるとは思うけれど、スポンサーが付くことは難しいだろう。
　特に「面会報告」は、名古屋出入国在留管理局（名古屋入管）に収容されている非正規滞在外国人との面会を続ける西山誠子さんの活動を綴った番組だった。弱い外国人に対する入管のあまりにもひどい対応には、日本の役人のお上体質がもろに出ていて悲しかった。日本人には、こういう部局があることすら知らない人がほとんどだと思う。また、彼らに役に立ちたいと、病を押して面会を続けるボランティアがおられることすら知らなかった。