第188話 「恐ろしく強い」
文字数 339文字
「恐ろしく強い」とはこのことを言うのだろうと思う。
ただ、この目の前の将棋、この一番を制するのだという、一点に研ぎ澄まされた鋭利な刃物で切り捨てたような勝負だった。
解説人の誰もが分からない最終盤を、ただ一人藤井聡太だけが読み切っての勝利だった。敗戦を誰よりも一番先に気づいた豊島が、凍り付くような室内の空気を投了という形で終局させた。
勝てば四冠だとか、四局で終了してしまうと残りの三局の予定者に迷惑をかけるだろうとか、勝利後のインタビューにどう答えようとか、この勝利を一番に誰に報告しようか、そんな下世話な考えがそこには微塵もない。
全くの別次元。
そんな竜王戦の勝利だった。豊島の悔しさを筆舌に尽くすことは不可能だ。この敗戦が豊島をさらに強くすることを願うばかりだ。
ただ、この目の前の将棋、この一番を制するのだという、一点に研ぎ澄まされた鋭利な刃物で切り捨てたような勝負だった。
解説人の誰もが分からない最終盤を、ただ一人藤井聡太だけが読み切っての勝利だった。敗戦を誰よりも一番先に気づいた豊島が、凍り付くような室内の空気を投了という形で終局させた。
勝てば四冠だとか、四局で終了してしまうと残りの三局の予定者に迷惑をかけるだろうとか、勝利後のインタビューにどう答えようとか、この勝利を一番に誰に報告しようか、そんな下世話な考えがそこには微塵もない。
全くの別次元。
そんな竜王戦の勝利だった。豊島の悔しさを筆舌に尽くすことは不可能だ。この敗戦が豊島をさらに強くすることを願うばかりだ。