第１９２話　米中の覇権争い

　米中の覇権争いに関係する様々な動きが、世界の注目を浴びている。新聞の国際面は、ほぼこの問題が中心だ。我が国や周辺国にとっても、その影響ははかり知れないからだ。
　日本は自由主義国であり、資本主義国でもある。当然アメリカと協調体制を取っていくだろうが、経済分野での中国との関係もこれを無視することは不可能だ。そのあたりが我が国にとっての頭の痛いところだろう。同様に、世界の各国にとっても中国との関係を無視できる国は少ない状況にある。
　この流れを反映するかのように、中国と台湾がTPP加盟を申請した。TPP加盟国のリーダーである日本にとって、この取り扱いに苦慮することになるだろう。



　
　中国は、香港の支配を強権発動によって、ほぼ手中に収めたような気配だ。当面、中国の習体制の最大の関心事は台湾との問題を如何に収束させるかにある。中国にとって、台湾は自国だと考えているだろうし、武力を行使してでも台湾を吸収する行動に出るだろう。世界制覇を目論む習にとって、絶対に台湾を手放すことは考えられないからだ。香港を英国から奪還し、自国化を強引に果たした。次の最大の課題であり、目の上のたん瘤の台湾を如何に統一するかをめぐって、米中の争いは収まる気配が全く見えない。