第525話 卑弥呼

文字数 489文字

 久世光彦の「卑弥呼」を読了した。久世は向田邦子と組んで話題になったテレビドラマ「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ」のプロデューサーして知られている。「卑弥呼」はあの邪馬台国の話かと思ったら全く違い、面食らった。女性のアソコの話なのだ。若い女性編集者ユウコが提案した、女性のアソコの名前を統一しようという雑誌の企画の話だった。男と比較して、女性のアソコの呼び名は全国に数百あると言われ、地方によって様々に違う。なので、それを雑誌の中で統一しようと考えたのだ。内容は、意外にも真面目なもので、久世の知識の豊富さと膨大な読書量を感じさせるものだった。


   今は、この大好きな匂いで街中があふれている

 ユウコには恋人カオルとアレができないという悩みもあった。最後の結末で、カオルの祖母の伝家の宝刀で出て、全てが解決するという面白さもあった。文庫本にして600ページもあるこのくだらない(?)本を最後まで読ませ続けたのは久世の文章力だと思う。
 *「卑弥呼」(ヒミコ)はその呼び名の第一候補として挙がっていた。その結論は出ずに本は終了したが、別にどうでもいいことだった。


   池田、呉春の前

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