第85話 「バカの壁」

文字数 526文字

 一番尊敬する人物はと問われれば、考えるまでもなく養老孟司先生と答えるだろう。あの400万部を超える「バカの壁」の作者であることを知らない人はいないだろう。
 この本が出る前から、自分はからだのことについて興味があったので、先生の著作はよく読んでいた。先生の代表作「唯脳論」は自分のバイブルと思えたし、繰り返し読んだけれどあまりにも難解で、その内容の半分も理解できたかどうかわからない。この本に挑戦するとき、いつも自分の悪い頭が揺さぶられ、からだから頭だけをはずして、洗濯機の中に放り込まれたような感覚だった。頭脳のレベルが全く違う、異次元の人の考えることといった感覚だった。
 先生の講演をYouTubeで見ると、特に若いころの先生の話はあまりにも速すぎて(早口という意味ではない)、聴衆が全くついていけないことがよく見られる。先生一人だけが納得してニコニコしておられ、それはそれで先生は全くそのことを気にしていないという風なのだ。個人的には、先生にノーベル賞をあげてほしいと思うのだが、結果が見えないものにはやはり無理なのだろうか。残念だ。先生もそんなものには全く興味はなさそうだが。
 うちのトイレには一冊の本がいつも置いてある。その本は「養老訓」だ。



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