第377話 高齢三態

文字数 587文字

 高齢になると、男と女の差がはっきりしてくるように感じられる。自分は、男だけの将棋、自分以外は女性だけの俳画・俳句、混合のグランドゴルフの公民館活動に参加している。あちらこちらにずうずうしく参加する人間も珍しいようだ。おかげでその差が何となく肌で感じることが出来る。



 「おっさん」だけの将棋は、はるか昔の現役のときの姿、匂いを引きずっているように思える。全くの無言で勝敗を争う。決着の少し前になって、わずかの慙愧の念をつぶやかれる。終了すると、思いのままに静かに三々五々引き上げる。わきあい合いのアフターなどは全くない。しずかに舞台から去るのみなのだ。
 女性人だけの俳画・俳句は、おしゃべりに始まっておしゃべりに終わる。意味のないことを、これほど延々としゃべれるものなのだと感心する。ただ、おしゃべりの中には、それぞれの自我が垣間見える。
 混合のグランドゴルフは、和気あいあいが特徴。男に対し、少しの遠慮と男を立てるという一応の気遣いがある。グランドの準備や整備は男がほとんどやっているからなのだろう。家庭と同じく、ここには社会がいまだ存在している。残念なことに、彼らに昔はあっただろう“色気”の“い”は全く消滅している。終了後には、仲のいい女性グループが、おしゃべり三昧のランチをしているらしい。彼女らには、もう昔の相方はいないのだ。


   京都明倫小学校(登録有形文化財)

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