第456話 <死ぬということ>への恐れ

文字数 498文字

 人は老化によって、若かった時には思いもよらなかったことに恐れを抱くようになるようだ。眠れないこと、様々な健康不安、病への恐れ、運動不足による足腰への不安、食生活への疑問などなど、きりがない。全てはやがて誰にでもやってくるだろう<死ぬということ>への恐れが根底にあるのだろう。
 先日、Eテレで睡眠について精神科の医師が語っていた。そういう風に教え込まれたのか、一日最低8時間の睡眠という希望を自分は持っている。しかし、歳も70を超えると、5~6時間で十分ということらしい。ふとんやベッドの上でごろごろしているのは、半分は眠っているのと同じだという。そういえば、自分も食事以外の大半の時間はベッドの上にいる。また、うたた寝もする。何だか少しホッとする話であった。眠れないで死んだいう話はあまり聞かない。


   東京 浅草にて

 テレビを見ていると、老人の様々な恐れを誇張し、それを商売のネタにしようとするコマーシャルなんと多いことだろう。自分も含めてそれに反応する。だまされるほうが悪いのだ。商売のコツは、老若男女すべてに不安を押し付けることから始まるようである。不安は心の中でどこまでも膨らんでいく。



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