第172話 山崎豊子の本

文字数 524文字

 山崎豊子の本は、内容が重厚で読みごたえがある。氏の作品は映画やテレビで何度となくやっているけれど、いつ見ても楽しめる。十分な取材と準備に時間をかけているからだろう。先日、「沈まぬ太陽」のテレビ版を見た。かなりの長編だが、二日をかけて一気に見てしまった。どんどん先を見たくなってしまうのだから仕方がない。
 で、今度は図書館で「約束の海」を借りてきて昨日に読了した。この本は氏の絶筆で遺作となる。巻末に、続ける予定だった二部、三部の要約が付されていた。さぞ残念なことだっただろうと思う。原子力潜水艦を扱った小説で、これから先十分に起こりえる戦争の問題を取り上げており、映画化されれば話題を呼んだだろうと思う。



 実際のところ、小説や文学作品と映画・テレビとはどう違うのだろう。じっくりいい小説を読み感動し、涙がこぼれてくることもある。同様に映画・テレビを見ても感度し、涙を流すこともある。ならば、比較すると映画・テレビを見るほうがインスタントで楽だ。もう歳を取ると、同じならエネルギーを使って本を読むより、テレビで済ませるほうがずっと楽なのだ。
 いったいどう違うのだろう。昔の観念では、本のほうが上級で、映画やテレビは下と見られていたように思うけれど。



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