第641話 中途半端 絶賛!

文字数 601文字

 世の中では中途半端はいけないとされている。そのように教育されて生きてきた。だから、何事に対してもいい加減で、満足することができずに人生を終えてしまうのだと。でもこの歳になると、少し考えが変わってきた。中途半端のおかげで現在それほど大きな悩みもかかえず、言いたいことを言い、好きなように生きていられるのではないかもしれない、と。


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世の中の成功者には人々の注目が集まる。だから世間に対して紳士でなくてはならない。少しでも悪い事や、おかしなことをすると一斉に批判を浴びる。確かに精神的な満足感や金銭的優越感は得られるかもしれないけれど、その分窮屈な世界に閉じ込められてしまうのだ。毎日のメディアによって伝えられるゴシップや不祥事に対する一斉攻撃ほど可哀想なことはない。それは彼らが有名人、成功者であるからだ。プライベートと引き換えに手に入れた成功なのだ。
 今、八十歳を前に自由に楽しく生きていられるのは自分の持つ中途半端のお蔭ではないかと思えるようになってきた。冷静に世の中を見ているとほとんどの人たちは中途半端に生きてきた人たちばかりのように思える。何も中途半端が悪いと言っているのでは決してない。少々の経済的不満や家庭内にも少しは問題もあるかもしれない。でもそれだからこそこれほど自由に生きていられるのかもしれない。中途半端を絶賛しよう。中途半端を堂々と喜ぼう。


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