第307話 負けて悔しい

文字数 643文字

 負けて悔しい思いをした。勝負事には付きものだが、勝たねばならない、勝って当たり前と思っている相手に負けると、悔しさが倍加する。昨日、新加入の人と初手合いをして負けてしまった。周りの雰囲気から勝てるだろうと思っていた。前半は大優勢、安心して大事に行こうとした。最後の決め手を欠き、凡手を指し、そこに付け込まれてしまったのだ。
 勝負事は、ビビったら負ける、を体現したような負け方だった。いつまでも悔しい自分がいた。帰宅後にも引きずる自分がいた。気持ちの整理がつかない。次戦では、いい将棋をさして勝ってやる、との思いが自分に定着するまでじくじくとしていた。この年になっても、そんな自分がいることを喜ばなければならないのかも知れないけれど。でも、悔しいのだ。特に将棋の愛好者には、負けて悔しくならない人はいないと思う。




 勝負は負けて得るものが多いような気がする。悔しい思いをバネにしてという話はヤマとあるのだ。勝利には余り自分にはね返るものがないのかもしれない。今期に、そんな悔しい思いをした豊島と渡辺がいる。あの藤井聡太にコテンパンにやられてしまったのだ。自分らには想像もできない悔しさだろうと思う。今ごろは藤井対策に、頭を悩ましているだろうことが容易に想像できる。今期の戦いは、順位戦の最終で藤井がA級昇級ということで終了した。
 さて、来期の彼らの対戦が今から楽しみだ。しかし、急に藤井が強くなりすぎて、前半戦に彼の登場が激減しているのも寂しい。ファンは身勝手なものなのだ。


    堺にて

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み