第453話 77回目の原爆忌

文字数 369文字

 司馬遼太郎のエッセイの一節に、面白い言葉を見つけた。「人は、日常の連続と習慣、条件反射の中で生きている」。なるほどの表現だと思った。自分のように老年になると、つくづくそのような日々を送っていることが分かる。そう思えるだけでも、有難いことと感謝しなければならぬ。



 広島で、77回目の原爆忌を迎える。自分も、もうしばらくすると77回目の誕生日だ。もう嬉しくも悲しくもないけれど、今年は特に原爆の日の重みを感じる人が多いようだ。
 人間は経験の中で生きている。それを体験した人と、そうではない人との距離をどうしても埋められないのが根本的な問題のような気がする。それは、被爆であっても、戦争、大地震、大病、大事故、風水害、何であっても同じことだ。人それぞれがそれらの全てを体験することは不可能なことだから。ただ、思いやることは出来るはずなのだが。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み