第231話 「十五の夏1975・上」

文字数 630文字

 「十五の夏1975・上」を読み終えた。佐藤優の400頁を超える大作で、下巻が楽しみだ。好きな作家、沢木耕太郎の「深夜特急」に匹敵する名著だと思う。それにしても、15歳で一人ハンガリー、チェコスロバキア、東ドイツ、ポーランド、ルーマニア、ソ連を旅するなんて、全くすごい奴だと思ってしまう。両親が高校合格の祝いに旅費を出してくれたとか。僕がその境遇にあったとしたら、アメリカかイギリス、西欧を選んでいただろう。その年齢である程度の英語が出来たということだ。将来の外交官になる礎をここで築いたのだろう。また、訪れた各国の印象を的確にとらえているのが驚きだ。
 自分も、高校生のときにアメリカ、ニュージーランド、台湾の女性と文通をしていたことを思い出した。外国から郵便物が自分宛に届くという嬉しさを経験した。アメリカ、イリノイ州からの女性が送ってきた写真が余りにも美しくてビビッてしまい、Do you date? と書かれてあったことを覚えている。

 この本を読みながら、大事なことを思い出した。それは父が戦争中、ロシア語の通訳をしていたことだ。当然のことだが、通訳とはロシア語を日本語に訳し、日本語をロシア語に訳す仕事だ。高校でロシア語を勉強したのだろうが、それを戦時中に通訳として任務をこなしていたのだ。何と凄い父だったのだろう。そう言えば、小さい時に父からロシア語で歌うボルガの舟歌を習ったことがある。「エイ・ウッフニョム エイ・ウッフニョム」というかけ声だった。



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