第189話 夫婦二人

文字数 447文字

 高齢者の晩年は、つくづく夫婦二人なのだと思う。この予想もしなかったコロナ襲来によって、孫の顔を見ることも難しくなった。親しき友人とも会うことも出来ない。ほぼ、いや毎日がその生活なのだ。

 世間の中には、夫婦の相方を先に亡くしたり、一人での生活をする人も少なくない。二人でいられることに、実は感謝しなければならないのかもしれない。また二人での生活が穏やかなことに、誰もがそうではないことに気づかなければならないと思う。



 これから先、いや突然に、自分が、相方が病に倒れたり、事故にあうことも無いとは言えない。何が起こってもおかしくない年齢にすでに達しているのだ。これが当たり前のことでは決してないのだ。
 ふとこんなことを、他人の死を見て感じる歳になった。




 今のこの時を、日々の毎日を大事にしなければ手ひどい目にあうこともあるだろう。もうこの歳になれば、日々を後悔なく生きること、何は起こっても甘受できる心構えだけは準備しておかなければと思う。でも実際にそうなると慌てふためくだろう自分も想像できる。
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