第283話 正岡子規と夏目漱石

文字数 551文字

 伊集院静の書いた「ノボさん」を読んだ。正岡子規と夏目漱石の関係性に驚くと同時に、二人の天才と秀才の出現が明治の文学に大きな足跡を残した経緯がよく分かった。
 二人とも東大生であり、特に優秀な頭脳の持ち主であったこと。漱石の名前は、もとは子規のペンネームでありそれを譲り受けたものであること。子規が天衣無縫の天才型であり、漱石がまじめな秀才型であったこと。二人がお互いを理解しあう中だったこと。明治という時代に登場し、文学史上に俳句と小説という分野の礎を気づいたことがよく理解できた。
 それにしても、子規が39歳、漱石が49歳という、あまりにも短い一生だったことを初めて知った。




 伊集院静の小説は読みやすい。夏目雅子の元旦那であるとか、野球で挫折し、小説家に転進したとか、ゴルフが上手いとか、そんな表面的なことしか知らなかったことが悔やまれる。読んでいて、隠れたところでの勉強と努力から書かれていることがよく分かった。さて、次は氏の何を読もうか?
 野球という言葉の名付け親は子規である。子規の本名、升(のぼる)という名前から、野(の)球(ぼーる)を考案したのだ。いかにも俳人らしい子規の言葉遊びが感じられて嬉しい。もちろん、野っ原でやる球遊びであることにも引っ掛けれているのだ。


   神戸布引ハーブ園にて

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み