第30話 「交通誘導員ヨレヨレ日記」

文字数 421文字

 「交通誘導員ヨレヨレ日記」の作者がNHKの深夜便にゲストとして出ていた。ほぼ自分と同じ年齢だ。この本は良く売れているらしい。誰にも最底辺の職業を体験した人の話は、ある種新鮮だろうし、少しは優越感にも浸れるからなのだろう。
 今の日本で高齢者が働ける場所は、介護、掃除、交通誘導員くらいしかないと言われている。自分も介護関連の仕事をやったので、何だかへんな親近感がある。作者は、ハンドバッグ店の経営、出版社勤務を経て編集プロダクションを営んできた。普通のサラリーマンよりは大きく稼いだ時期もあったと言うことだが、お定まりのばくちと骨董収集で破綻したらしい。しかし、交通誘導員として世の中を地べたから見てみて、もうこれ以上、下はないのだという安心と覚悟が生まれたのだろうと思う。
 何とか見返してやりたいという気持ちと、支えてくれた伴侶への思いが再生への道を開いたのかも知れない。この本の印税で編集の仕事を再開し、交通誘導員の卒業を狙っているとか。
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