第579話 歓喜の輪

文字数 408文字

 WBCの国別対抗を見ていて素直に素晴らしいと思った。劇的な点が入ったとき、どの国もホームベース上で、全員が子供のように飛び上がって、その喜びを表す光景だ。この自然に出る歓喜の姿ほどほほえましいものはない。全てのチームが国を上げて戦っている光景だ。愛国心というのはどの国にもあるのだなと感じる瞬間だ。見ているほうとしても、これがために応援しているのだと思いたくなる。



 しかし、残念ながらひとつ間違えば、この愛国心が恐ろしい戦争へと切り替わることがある。まことに残念なことだが、人類がいまだにこれを修正できないのは寂しいことだと思う。今の世界情勢を見ていて誰しも感じていることだろう。愛国心も歯止めがなくなれば隣国への憎しみとなって争いが生まれる。平和のためのオリンピックも、今や商業主義や一部の人の利益のためのゲームのようになっている。WBCのこの瞬間だけでも、ただ野球好きの穢れのない一瞬であり続けて欲しいと思う。


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