第305話 花粉症の大ベテラン

文字数 640文字

 コロナが少し落ちついてきたと思ったら、毎年の定番花粉症がやってきた。杉の花粉症だが、例年より遅れてやってきたのだ。去年の日記を見ると、2月の20日過ぎにはしっかり飛んでいたので、寒さのせいで花粉がはじけ散るのがずれたのだ。今からヒノキへの移り変わるまでの約1ヶ月は地獄の日々が続く。
 花粉症という言葉ができる前からの大ベテランで、もう60年は毎年この時期に悩まされる。薬剤も、日進月歩開発はされているのだが、敵もさるもので、いまだにこれという特効薬は作られていない。年々花粉の飛散量も増しているのだろう。花粉症の最盛期には、頭がボーとし、集中力に欠け、何をするのも嫌になる。鼻水、くしゃみ、目やのどがかゆくなる、鼻が詰まって夜も眠れない、そんな日々が毎日続くのだ。春がだんだんと進み、部屋中でのクーラーが当たり前になる頃にやっと解放される。
 大ベテランとしては、花粉症への特効薬になりそうなヒントに気付いている。それは緊張なのだ。緊張すると、嘘のようにピタッとくしゃみや鼻水が止まる。たぶん、からだからのアドレナリン放出されるからだろうと思う。それが証拠には、緊張から解放されると、一気にもとの花粉症の症状がドバーと戻ってくるのだ。と言って、ずっとアドレナリンを出しっぱなしにするわけにも行かぬ。サンデー毎日のわが身には、残念ながら緊張することもなくて、まことに始末が悪い。毎回の自分用のゴミ箱が、ティッシュペーパーでこぼれそうに山済みになり、嫁に文句を言われる日々が始まった。


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