第４４７話　コーヒーの味

　コーヒーの味を自分はわかっているのだろうか。先日買ったコーヒー豆に美味しいコーヒーの入れ方という案内が入っていた。自分の今までのやり方とは全く違う方法が書かれてあった。
　もともと食べ物は何でも、やけどをするぐらいのアチアチが好きだ。酒は熱燗、天ぷらは揚げたて、味噌汁はアツアツ、お茶も舌がやけるほどのものをふうふういいながら飲むのがいい。だから、自然にコーヒーも熱湯を注いで作るのが当たり前だと思っていた。それが美味しいのだと自分に言い聞かせていたのかもしれない。


　　　東京駅にて

　案内に熱湯で入れたコーヒーは、本来の味も風味も感じられないものになると書かれていたのだ。実は、正直いい豆を買って飲んでも、さほど上手いとは感じていなかったのだ。しかし、近場にサイフォンコーヒーを飲ませる店があって、たまに行くと美味しく思うのだ。この味を家で飲めないのかが不思議だった。家内も上手そうに飲んでいる。香りも味も何だか家コーヒーとは違っているようだ。味音痴かもしれないが、一から出直しを図ってみることにした。
　先ずは、サイフォンを買った。教科書どおりにやってみよう。