第10話 W.M.ヴォ-リズ

文字数 571文字

 W.M.ヴォ-リズの建築物が好きだ。ある時期から洋館に興味を持ち、各地の洋館を訪ね歩いたことがある。その時になって始めて、灯台もと暗し、自分の卒業した関西学院の建物が彼の設計によるものだと知った。まことに恥ずかしく、洋館のことを語る資格はない。明治の末期、日本に洋館を広めたのは彼の功績によるものだと思う。先日、門井慶喜が書いた「屋根をかける人」という本を読んだ。ヴォーリズの一生を書いたもので、ラストのあたりで彼が「天皇を守ったアメリカ人」でもあったことを知り、愕然とする。
 彼は、日本の敗戦の折に、連合国軍総司令官のマッカーサーと近衛文麿との仲介工作に尽力していたのだ。それによって、天皇が戦争犯罪人としてさばかれることなく、日本国の象徴としての道が開かれたのだ。何と凄い人ではないか。彼がいなかったら、今の天皇の形が無かったかも知れないのだ。
 数多くの洋館を設計した人、日本にメンソレタームを紹介した人、ヴォーリズ記念病院を建てた人、子爵令嬢・一柳満喜子と結婚・帰化し、近江八幡市名誉市民第1号、黄綬褒章を受章した人、だけではなかったのだ。
 彼の設計による建築物を少し紹介。大丸百貨店本館、明治学院礼拝堂、同志社大学、神戸女学院、関西学院の様々な建物群、慶応義塾大学キリスト教青年会館、駒井家住宅、大丸ヴィラ、東華菜館などなど数多い。
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