第186話 寂聴さん

文字数 528文字

 寂聴さんが亡くなった。何冊かの本も読んだし、寂庵での法話集のCDも買った。テレビでも様々なトークやドキュメントも見た。99歳、先ずは立派としか感想が浮かばない。長く生きることは、それだけで大したものだと思う。その上に、これだけ多くのことを成し遂げられたことに感服するしかない。生きることの苦しみと楽しみは表裏一体、どちらかに偏ることはないだろう。でなければ、成り立たないように人生は出来ているはずだから。




 この人を考えるとき、一番に思うことは<自由>という言葉だ。人間として生まれて、誰もが考え、手に入れたいと思う言葉は自由だろう。自由を得るために努力するのが、ある意味で生きるということかもしれない。そのためには、世の中の常識や世間の目、様々な抵抗を払いのけることが必要になってくる。
 寂聴さんは、心の赴くままに恋愛をし、書きたいことを書き、欲しいと思う名声を勝ち取り、食べたいと思うものを食べ、行きたい所へ行き、言いたいことを歯に衣を着せずしゃべり、そんな誰もが成しえない人生を送られたのだろう。

 言葉でいうのは簡単だが、これを実行に移すことは並大抵のことではない。言行不一致の自分からすると、あまりに尊大すぎてもうこれ以上書き進めることは出来ない。



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