第547話 恩人

文字数 313文字

 突然の喪中はがきが舞い込んだ。会社を経営したおり、最後の会社整理まで付き合っていただいた恩人の訃報が書かれていた。この歳になると、こういうことも珍しくはないが、やはり気持ちにぐさりと来る。自分より七つ年上の方だったが、彼の人生にも大きな波乱があったようだ。勤めておられた会社を突然追われ、単身でタイに乗り込んだ経験の持ち主だった。ご冥福を祈るしか自分に出来ることはない。



 人生の中では様々な人と巡り合う。それらの人々との出会いと別れが、人生そのものだと思うし、人間というものだろうと実感する。ただ過ぎ去った過去を考えてみると、相手がどうこうと言うより、自分の側の心の持ち方で変わってくるものなのかもしれない。


   石山寺にて

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