第385話 アジフライ

文字数 496文字

 魚は昔から苦手な食べ物だった。あの生臭さが苦手だし、骨も苦手だ。その点、さんまは骨が柔らかいので食べやすいが、アジは骨がしっかりしているので、焼いたアジなどはお手上げだった。自分の食べ残しを家内はぶつぶつ言いながら食べるのがうちの食卓だった。



 先日もアジの大振りなものがあったと家内が買ってきた。なので、一度きっちり骨をとってフライにしてくれとリクエストした。丁寧に取ってくれたせいか、これがなんと旨いことか。初めてアジを美味しく食べることができた。油ものっていて、アジの旨さを再発見したのだ。それから少しアジのファンになり、昨日もイオンでアジの三枚下しを売っていたので買ってきて、家内にまた再リクエスト。これも美味だった。今日の昼は、残りのフライを暖めなおし、パンにはさんでアジフライのサンドを初めて食べた。何という成長を自分はしているのだろう。
 大衆食堂のアジフライ定食というのが人気ある理由をこの年にして理解できた。結婚当初は、魚はほとんど駄目で、生(おさしみ)なんて全く駄目だったのだ。それが、家内のおかげで今は好物になっている。この歳にしてまだまだ発見がある。



   神戸港クルーズ
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