時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。

文字数 1,158文字

(2021/9/14)
2021年9月5日 第1刷発行 
著者:和田静香  取材協力:小川淳也
左右社



相撲・音楽ライター自称の著者だが、タイトルの通りアルバイトで生計を立てている、
コロナ禍の中でカツカツの毎日を送り不安と怒りに苛まれているという。
とすれば、本書出版でで大いに一息ついてくれるといいのだけれどね。

奇を衒った長い本のタイトル、それ以上に国会議員(小川淳也)に議論を仕掛けて、その顛末
を盛り込んで「本を作る(本人の言葉)」という大胆なチャレンジが話題になっている、早速
手にしてみる。
政治・経済について専門知識のない56歳の女性ライターの奮闘記が微笑ましいが、読みながら
著者の本音がいちいち自分の胸を打つ、僕自身も政治または政治家の役目など考えたことも
なかったことを痛感する。
それは著者が捨て身でぶつかっていく相手である小川議員の人柄と彼の確信的政治理念の
おかげでもあった。彼の17年の軌跡を追った映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」は観る
機会がなかったがノンフィクションシネマとしては異例の高い評価と観客動員を記録している。
大丈夫だ、小川議員の政治理念は本書からも十分に感じ取ることができる、著者が質問形式で議員にぶつかり稽古する中で当然のことだが、彼の理想が表明されるという仕掛けになっている。
議員の言葉はときに優しく、ある時は厳格に自分の理想を語る、いまどきこんなに志の清らかな政治家がいるのかと疑うかのように。

議員の話は置いておこう、
本書は著者の成長物語である、365日間の国会議員との議論の概略を目次から拾ってみる:
●応援する候補者が当選したためしがない
●政治がわからないまま大人になった
●ポストコロナの最重要課題は「人口問題」
●「コロナから国民をまもります」ぐらい言えないのか
●賃金が上がった、景気が良くなった、と言ってたけれど
●仕方なく払っている税金の行方
●ゆくゆくは 消費性100%
●ベーシックインカムで安心できるか?
●住む場所さえも確保できない
●働く人の年齢差別
●この賃金でこの社会保険料はおかしい
●女性たちは競争させられている
●待ったなしの移民問題
●「私たちの家は火事になっている」
●エネルギーは私たちの力で作れる
●分かり合えない原発の問題
●私も沖縄に基地を押し付けている
●「安心・安全なオリンピックを目指します」?
●間違えてもいい民主主義
●不安をそのままにしないための政治
●私の不安は日本の不安だった

以上からも想像できるように、議論のテーマは広く・深く・重く・長くて、そしてとりとめもないものだが、日頃から身近に感じるものでもある。
もしもこんなことを一度も考えたことがないようだったら、ぜひ本書をお勧めする、きっと不安に目覚めるかもしれないが、
もしかしたら生きていく力を貰えるかもしれない。
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