ブラックボックス (2017/5/20)

文字数 778文字

2017年5月16日 第1刷発行
著者:マイクル・コナリー 訳:古沢嘉通
講談社文庫



マイクル・コナリー長編25作目、ハリー・ボッシュシリーズ最新作、
ハリー登場作としては19作目になる。
スタートが1992年の「ナイトホークス」だからかれこれ4半世紀にわたるネバーエンディングストーリになったものだ。
ベトナム戦争を経験しているから年齢は僕とほぼ同年齢だろう、前作ではロス市警の定年延長制度で契約刑事になっている。
刑事を宿命と信じるハリー、今作でもコールドケース(未解決事件)班員として一匹狼ぶりを発揮している。
今回のコールドケースは、まさにシリーズが始まった1992年のロスの大暴動のさなかに起きたデンマーク人女性ジャーナリスト殺人。
ボッシュは20年前その現場にいたこともあり、当ケースに執着する。

事件はその前年の湾岸戦争にまでさかのぼって捜査の範囲が広がる中、経費削減最優先のロス市警幹部との確執も織り込まれる。
捜査のための宿泊出張は原則禁止、通常ペアーで動く刑事は2人部屋宿泊・・・などと結構笑わせてくれるが、これがアメリカの現実なのだ。

捜査展開、犯人追及はいつもの通りハリーの独り舞台になるが、お約束のどんでん返しがさほどインパクトがない。
それでも、激しい銃撃戦まで用意してくれるマイクル・クラントンには感謝感謝だった。

さて、このシリーズはもはやポリスストーリーン範疇を超え、アメリカンファミリーサーガになってきた。
とくに、娘との生活が今作の大きなサイドストーリーになっている。
高校生の娘が刑事になりたいという、そこで職権乱用でポリスアカデミーで娘に射撃訓練させるハリーが微笑ましい。
警官の新規採用は退職者の補充のみの影響でポリスアカデミーが暇だから・・・というのもこれまたお笑いだった。
新作がすでにもう5作アメリカで発刊されている、次回作も読むしかないな。
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