テレビの荒野を歩いた人たち (2020/9/25)

文字数 938文字

2020年6月20日 発行
著者 ペリー荻野
新潮社



1953年2月1日、僕の3歳の誕生日に日本のTV放送が始まった。
家にそのTVがやってきたのは、しかしそれから7年後のことだった。
そのあとは両親からのきびしいTV使用規則を課せられたにもかかわらず、
僕の毎日はTVが中心になったものだ、当時はアメリカの30分ドラマが全盛、
小学4年生の田舎の子供にとってアメリカが輝いて見えたものだった。

本書はその頃TV業界に飛び込み、レジェンドと呼ばれるようになった方々のインタビューにもとずく貴重な体験談、自慢話が一杯詰め込まれている。
田舎の子供にとってはTV番組と言えば主役の俳優さん、歌手の誰それとかが記憶に残っているが、本書で紹介される その裏方としてまるで未知のものだったTVを支え、育てた人の逸話が
僕の記憶とシンクロし懐かしさも相乗され、しばし少年時代に思いを馳せてしまう。

このように、新しい文化、ビジネスが立ち上がる時には大きな混乱とともに、情熱を持った人間が必ず存在するものだということをあらためて痛感するとともに、今の「新型コロナパンデミック」混乱の後に必ず創出される新しいものへの取り組みの大切さを想像した。
いったいどんなことが来るべきニューワールドを制覇するのだろうか?
その時に、どんな人間がそこで活躍するのだろうか?
それを見届けることはできないかもしれないが、血が騒ぐのだった。

レジェンドの方々は以下のとおり;
石井ふく子・・・・・テレビに移動が決まると「左遷されました」と言ってた時代
杉田成道・・・・・「あんなの面白そう」というだけで企画が決まっちゃった
橋田寿賀子・・・・・一流になれなくても、二流で結構
岡田晋吉・・・・・青春ドラマは三回続けるとコケる
小林亞聖・・・・・テレビの仕事にも人情がありましたよ
菅原俊夫・・・・・いつか、お嬢(ひばり)の殺陣師になる
中村メイコ・・・・・実験放送に出たのは6歳のころ
久米明・・・・・時代劇に時計出しちゃった
小林信彦・・・・・テレビについては、アマチュアという立場でいたかった
小田桐昭・・・・・日本のCMは「面白い」が一番
山像信夫・・・・・僕の口癖は、理屈よりロマン
杉山茂・・・・・「後は野となれ山となれ」という気持ちで中継していました
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み