感傷の街角 (2013/11/7)

文字数 658文字

1978年発表、第1回小説推理新人賞
1994年角川文庫初版 1999年第15版
著者:大沢在昌



万年初版作家と言われ続けてきた大沢さんのデビュー作。
後の「捜索人 佐久間公シリーズ」に繋がる記念すべき短編集(7作)である。

1990年「新宿鮫シリーズ」で大ブレイクしベストセラー作家の仲間になる。
この新宿鮫効果で、ケイブンシャ文庫初版にて絶版になり、
幻のデビュー作と言われていた本短編集が、角川から文庫化され、
なんと5年で15版を重ねている。
タイトル「感傷の街角」をThe Sentimental Cityのサブタイトルにするなど
良くも悪しくも軽いお洒落なハードボイルドである。
このシリーズが後の佐久間公シリーズ「雪蛍」、「心では重すぎる」に昇華していくとは、
当時は想像難いことだったろう。

本短編集は若い「公」が法律事務所の調査員(捜索専門)として、主に若者の家出捜索を仕事とする中からの事件、7作を描いている。
アクションあり、本格謎解きあり、恋愛あり、人情あり、タイムリミットあり
・・・大沢ミステリーのエッセンスが、それもフレッシュな息遣いが詰まっている。
バブル前の、六本木、赤坂、青山、麻布、広尾、そして横浜元町などお洒落な地理と、
おしゃれなお店もちりばめられている。
1980年には田中康夫の「なんとなくクリスタル」が100万部の大ヒットになったが、
本作はプチ「なんクリ」なのかもしれない。
作中「・・・ナウくない探偵さんね・・・」などという当時最先端の流行語も
使われていたりで、
「ナウイ復活委員会理事」として苦笑いした。

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