チャイルド・オブ・ゴッド (2013/10/27)

文字数 684文字

1973年発表、2013年7月早川書房初版
著者:コーマック・マッカーシー  訳:黒原敏行



現代アメリカ文学を代表する作家であり、
ノーベル文学賞に最も近い作家と言われ続けたマッカーシイーの曰くつきの作品がようやく翻訳、出版された。
作者は1992年の国境三部作(すべての美しい馬、越境、平原の町)で大ブレークし、
その後「血と暴力の国」はシネマ「ノー・カントリー」としてアカデミー作品賞、
監督賞、脚本賞、助演男優賞を獲得、
「ザ・ロード」はピュリッツアー賞を受賞し、同名のシネマも作られている。

本作「Chaild of God」はアメリカ南部山岳に住む狂気の男の物語である。
プア・ホワイトが引き起こす連続殺人、屍姦、近親相姦の描写もさることながら、
犯人をして「神の子」と称したことが物議を醸した過去がある。
小説作法も変わっている。

(単行本で)2~10ページ単位のシーンで物語は展開する、まるで映画のシナリオのように。
最初この展開についていくのがしんどい。
これがこの男の狂気そのものだと分かりだしてくると、
そこに自分の心が同調していく恐怖が呼び起される。
あなたたちはみな同じ神の子です・・・・と告げられたような恥ずかしさすら覚える。
なるほどこの作品、問題の書物である。
世が世であればマッカーシーは火炙りの刑に違いない。

ところでマッカーシーの最新作「Counselor」はシネマの最初から脚本だ。
来月公開予定、リドリー・スコット監督、マイケル・ファスビンダー、ブラッド・ピット、
ハビエル・バルデム、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアスの怪しいキャスティング。
これも期待できそうだ。
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