ラオスにいったい何があるというんですか? (2015/12/25)

文字数 629文字

2015年11月25日 第1刷発行
著者:村上春樹
文藝春秋



10編の紀行文集、村上作品ジャンルの中でも量産タイプのイージーリーディング読み物である。
本分集の7編はJAL機内誌AGORA掲載で、
著者が掲載用とは別にロングヴァージョンを残しておいたものとのこと。
JALには乗らないし(ANAがご贔屓)、ましてファーストクラス機内誌というから
僕にはもともと縁薄いものかもしれない。

良し悪しは別として、JALが事前のアレンジをしてくれたことは間違いない、
いわゆる取材型エッセイになっている。
7編の旅先内訳は、ポートランド(USA)/ミコノス島(ギリシャ)/ニューヨーク/フィンランド/
ルアンプラバン(ラオス)/ボストン/トスカナ(イタリア)。
なるほどね、硬軟取り混ぜた構成で、語り口も滑るジョーク(ダチョウ倶楽部なみ)を
連発している。
読みやすくて、トリビアも含めてためになる、これぞ旅の醍醐味というわけだ。

彼の紀行文といえば、僕の大のお気に入りの「遠い太鼓」がある。
著者の心が旅先の風景と葛藤し癒されていく様子に、新鮮な驚きがあったような記憶がある。
機内誌で、そんな重たい文章を読まされたらきっとB787なら墜落してしまうかもしれないな(冗談ですッ)。

だからこれでいいのだろう。
ただ、ギリシャ、イタリアの編には「遠い太鼓」の後日談、裏話のようなものが嗅ぎ取れたりして、それはそれで儲かった気もする。

もともと旅の好きな村上さんならではの紀行エッセイであることは間違いない。
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