カエルの楽園 (2016/5/1)

文字数 614文字

2016年2月23日 発行、4月5日 2刷
著者:百田尚樹
発行:新潮社



カエルの世界を日本の安全保障問題に擬えた寓話だそうな。
著者本人が自分の最高傑作だと豪語している。
元々著者の作品は小説というよりも浪曲の感覚があると思っていたが、
つまるところはアジテーションの強者だったことが明らかになった。
著者がアジっているのは「平和憲法の脆弱さと、平和憲法信者への嘲笑」という、
一種のヘイトチラシのようなものだ。
寓話といったが、寓話が醸し出す温かさなどは微塵もない、直截的で ある意味下品だ。

カエルの種族はじめ、登場人物、危機状況を正確に現在のアジア領土問題に擬えている。
特定のモデルはなくすべては架空の設定というのが、あまりにあざとい。
日本、中国、韓国、はどうやらカエルだ、アメリカは年老いた鷹。
日本人はツチカエル、頑迷な護憲主義者、国を憂う改憲主義者、けなげな自衛隊、口先ばかりのリベラリス、戦争反対の若者、まったく興味を示さない脳天気者
…など見事に憲法と集団的自衛権を取り巻く世論をカリカチュアしている。
貪欲ですべてを食ってしまうウシガエルは、さしずめ中国、
別の沼から来て住み着いたヌマガエルは在日なのだろう。

つまるところ、平和憲法では国は守れない、アメリカの力が必要でしょう…ということなのか。
著者は、一つの問題提起だと考えてるようだ。
なるほど、この程度で日本人の平和ボケを目覚ませることができると思われたようだ。
バカにされたものだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み