歎異抄ってなんだろう (2022/11/25)

文字数 920文字



2021年12月1日 第1刷発行 12月23日 第3刷発行 
監修:大森顕徹 著者:高森光晴、大見滋紀
1万年堂出版
ここ数年【歎異抄ブーム】だそうな。
五木寛之さんもご自分の見解をまとめて出版している、彼の生業だからと言えばそれまでだが。
そこで、遅ればせながらその本体に接してみようと思い立った。
歎異抄は700年ほど前に親鸞聖人の教えを弟子の唯円が後世に誤解のなきようにとまとめた書籍であり、親鸞聖人が書かれた教行信証が圧倒的に難解なのに比べて、かな交じり文にしてリズムの良い美文からなる短文になっている。
確かにこの比較説明は間違いないところだが、そうはいっても700年前の書籍、それも仏教を語るものであるから21世紀の日本人にとってもそうそう容易い代物ではないので、歎異抄には数々の解説書、入門書がある。
その中でも入門の入門、ハウトゥ書という位置づけの本書にチャレンジしてみた。
背景には宗教法人を名乗るカルト教団と政治の癒着が白日の下にさらされ始めている混沌への憂慮、
僕自身が死を迎える準備を整えたいという思いとが交錯している。
無論 我家系は代々真宗興正派の真面目な門徒であり今も月命日の法要を欠かすことのない仏教徒、死への嗜みとしても歎異抄に
近しくなりたいと思う純粋な好奇心もあった。
本書は文字は大きく、すべての漢字にはふりがながつけられ、図表説明などの細やかな配慮が目に付く。
巻末には歎異抄全文(そのくらいの短文だ)も併せ掲載されている。
入門書と侮ってはいけない、そのカジュアルな比喩を駆使した論説は僕が今現在 悩ましいと考えることと関連性が高い。
人間の欲望に限度がないこと、しかも自分では治癒できないこと。
その積み重ねが地球環境の悪化、異常気候になっていること。
戦争という名の欲望の暴力化、殺し合いが絶えない、今まさに。
人類は医者から見放された難病人なのだという教えが腑に落ちる。
では、難病を治すにはどうするか?
ここから先に関しては、信教の自由を尊重する立場から、歎異抄の内容ブリーフィングはしない、そうでなくても面白いものでもないし。
少なくとも自分自身の解決の糸口は、うっすらとではあるが手繰り寄せたような気になっている。
南無阿弥陀仏。
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