かがみの孤城 (2018/7/17)

文字数 735文字

2017年5月15日 第1刷 発行  2018年4月7日 第10刷発行
著者:辻村深月
ポプラ社



辻村作品初体験。2018年本屋大賞がきっかけなのは僕本来のミーハー根性のおかげ。
ミーハー根性も役に立つ、知りえなかった新しい才能に触れることができるのだから。
著者は2012年に直木賞も受賞しているわけで、今頃何を? ということなのだが、
僕にとっては新鮮な衝撃を受けた本作だった。

単行本表紙デザインからもお分かりの通り、不思議の国のアリスを思わせる一見ジョブナイル風であり実際全体のテイストはその通り。
主人公こころちゃん(中一)が不登校引きこもりになる、その要因である苛めの実態を被害者主人公の心の襞をより分けて描く。
引きこもりの日常と彼女の心の慄きがこれまた微細だ、読む僕も息苦しくなるほど。
そしてある日、鏡に吸い込まれてたどり着くのがオオカミのお面をかぶった少女が管理する「孤城」、そこにはあと6人の中学生が同じように呼び込まれていた、そんな6人はどうやら主人公と同じように不登校・引きこもりの身であるらしい。

現実生活では、不登校を何とか終わらせたい家族、福祉関連スタッフ、相変わらず無理解な教師たち、そして終わることない苛め現象。
前半 ファンタジーの形を借りた「いじめ問題」と被害子供たちの心身異常を切々と訴える展開に窮屈感すら覚えたところ、中盤から一気に物語は大きく動き出す、7人の選ばれた中学生たちが自力で立ち直ろうとする・・・・・
終盤は実はそんな容易い流れにはならない、怒涛のようなホラー、
そして涙にくれるエンディング。
心が心底から暖かくなるエピローグ・・・・。

本屋大賞2018 これだから本屋大賞は外せない。
(辻村作品を、少しさかのぼってチェックしてみることにした)
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