半沢直樹 シリーズ (2014/11/12)

文字数 671文字

2007年12月~2014年7月
著者:池井戸潤
文春文庫、ダイヤモンド社



テレビドラマは観ていないが、ブーミングはあまりにも有名だったので、
いつか原作を・・・と記憶していた。
ドラマでは、主役交代して来年再登場するとの情報があり、
この際一気に読んでみようかなと思った。

経済小説、企業小説などとジャンル分けされている。
僕の第一印象では、当シリーズは懐かしい健さんの任侠シリーズに近い匂いがした。
当然、悪い意味ではなく、日本人の精神の基盤に刷り込まれた勧善懲悪の美意識を
大いにくすぐってくれる。
今の時代、任侠コンセプトは反社会的勢力と分類されて、庶民が目にすることが
できなくなった。
その代わりとして、「銀行員」が世の中を正してくれるという、とんでもない発想の物語だ。
半沢の口癖 『自分はもともとは性善説を信じる・・・しかしやられたら倍返しする』が
しばしば登場する。
世間では、「倍返し」が拡大されたようだが、「人を信じる」ことにも深い意味がある。
博徒にも、最低ギリギリの掟がある、裏街道を歩く 日陰者であるがゆえに
ちっぽけな矜持がある。
まして、サラリーマンの選民である銀行員が「正しく」働かなくてどうする。
この任侠精神が4作で繰り返してテーマになる。

半沢が対応する問題は、フィクションとはいえ、どこか実際の事件を思い起こさせる。
そして、世に棲む悪に対して、読者である庶民が思うであろう怒りを
半沢が代わりにぶちまけてくれる。
その悪は、企業、官僚、政治家そして仲間である銀行員・・・まさに平成任侠伝だ。
読後、仕事ぶりを反省する自分はもう半沢直樹になっていた。
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