路上のX (2020/4/9)

文字数 610文字

2018年2月28日 第1刷発行
著者 桐野夏生
朝日新聞出版



週刊朝日にて一年間連載されたものだという。
つくづく桐野さんは連載小説がお下手だし、本にするにあたっても手直しをしないようだから本作も異様な終わり方になって僕は戸惑った。
以前新聞連載の際にも、毎日の文字数内での盛り上がりがない構成になっていて、毎日読む進むという連載の基本が無視されていた。
とはいえ、本作では異色の悲惨物語が全編を通して描かれていて、読み手も一緒に不幸になる心理的凶器のような小説だった。

桐野作品なので主人公は女性、今作では16歳の高校一年生と彼女が知り合うことになる17歳の少女二人が僕には想像もつかない世界へ誘う。三人による、底辺のその下でのサヴァイヴァル物語は桐野さん初期名作「アウト」の現在ヴァージョンにも思えるところがある。
両親に捨てられて預けられた親戚の家でのネグレクトから家出する16歳、
継父にレイプされ続けた少女時代にもかかわらず逞しく生き抜こうとするJKビジネスの17歳、
どうしようもない母親は将来の自分の姿だというリインカーネーション思想の妊娠中の17歳、
この三人が巡り逢う男たちは皆がみんな最低の連中・・・いや男なんてこんなものかもしれないと自分自身に恐怖がはしる。
少女たちを欲望の対象としか見ない彼らに果敢に食らいついて毎日を生き抜く、そしていつか復讐をすると誓う少女たち、
僕には想像のできない世界だった、桐野ワールド健在。
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