日本習合論  (2021/1/16)

文字数 848文字

2020年9月20日 初版第1刷発行 10月10日第3刷印刷
著者 内田樹
みしま社



圧倒的な知的エンターテイメントに魅了された、外出自粛が続く中のマックスな気晴らしになった。著者は僕と同年、歩んできた時代を共に語る同士のような連帯感すら覚えたものだ。

「習合論」と言っても、わかるようでわからない用語だが、日本は極東の島国という地理的条件もあって世界の制度文物が届けられ蓄積され、いつの間にか「ハイブリッド」が出来上がったというところが論拠、先にあったものを排除しないで新しいものを乗っけているうちに接合面が癒着して混ざり合ったものができる・・・というのが基本だ。

この著者独特の文明論で、行き当たりばったりのように日本を切り開いて見せる。
その対象は、最も習合が身近に受け止められる「宗教」から始まって「農業」、「会社」、
「労働」、「民主主義」の領域まで幅広く僕を誘ってくれた。
まずは読んでみてのお愉しみだが、団塊の世代には痛快極まる読後感になること間違いない。

本書のテイストと魅力を感じていただくため、著者「あとがき」を引用する:
— 以下 引用 ―
「話を簡単にするのをやめましょう」。それがこの本を通じて僕が提言したいことです。もちろんそんなことをいう人はあまり(ぜんぜん)いません。これはすごく「変な話」です。だから、多くの人は「そんな話は聴いたことがない」と思うはずです。
でも、それでドアを閉じるのではなく、「話は複雑にするほうが知性の開発に資するところが多い」という僕の命題については、とりあえず真偽の判定をペンディングしていただけないでしょうか。 だって、別に今すぐ正否の結論を出してくれと言っているわけじゃないんですから。 「というような変なことをいっている人がいる」という情報だけでも頭の中のデスクトップに転がしておいていただければいいんです。それ自体すでに「話を複雑にする」ことのみごとな実践となるのですから。
僕が「習合」という言葉に託したのは、そういうダイナミックなプロセスのことです。
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