暗い時代の人々 (2017/6/13)

文字数 823文字

2017年5月9日 第1版第1刷発行 
著者:森まゆみ
亜紀書房



歴代の自民党政権の中でも極右と言われる安倍政権の下で、安保関連法案強行採決、共謀罪のごり押し成立が見込まれ、メディアの締め付けと懐柔による言論の自由のなし崩し、軍事研究の開放、拡大する富の格差・・・暗い時代を想わざるを得ない。

そんな暗い時代はついこの間も存在していた。
満州事変(昭和6年)から太平洋戦争終結(昭和20年)まで、大正デモクラシーの夢から覚めたらそこに悪夢があったような暗い時代。
本書は、その暗い時代に、右顧左眄なく、首尾一貫して信念を貫いた人たちの評伝集だ。
彼らが社会主義者、共産主義者、無政府主義者、自由主義者だったから仕方がなかったと思うことは、テロリストだから仕方がないと思うことと同じ。
自分とは関係ないと思うことは、いつか自分に降りかかってくる理不尽に目を閉じてしまうことなのだろう。
そんな歴史、それもとても近い昔の暗い時代を生き抜いた人々を僕は知らなかった、
自分には関係ないと思っていた、ちょっと心配になった。
以下、本書で語られる 暗い時代に光輝いた人々;

1.「斎藤隆夫」 リベラルな保守主義者
2.「山川菊枝」 戦時中ウズラの卵を売って節は売らず
3.「山本宣治」 人生は短く科学は長い
4.「竹久夢二」 アメリカで恐慌を、ベルリンでナチスの台頭を見た
5.「久津見房子」 戸惑いながら懸命に生きたミス・ソシアリスト
6.「斎藤雷太郎と立野正一」 《土曜日》の人々と京都の喫茶店フランソア
7.「古在由重」 ファシズムの嵐の中を航海した「唯物論研究」
8.「西村伊作」 終生のわがまま者にしてリベルタン

格差が広がるほどに、生活の安定(仕事、報酬)を第一義として大事なことと思うのは仕方のないこと…なのか?
若い方たちはそう考えているようだ、いやそう考えるように追い込まれている。
今時 人権や大義を語るのは無粋に思われるのはすでに一部の権力に取り込まれ惑わされているからだろう。
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