燃える部屋 (2018/8/15)

文字数 671文字

2018年6月14日 第1刷発行
著者:マイクル・コナリー  訳:古沢嘉通
講談社文庫



マイクル・コナリーのハリーボッシュ・シリーズ 第17作目、
2014年の作品だが、やや翻訳が遅れがちなのが残念。
2017年時点ではシリーズ20作を達成している、つまりはまだ3作はこれからのお楽しみというわけである。

本作でハリーは定年延長制度最後の年を迎えている。
僕自身も3年前に経験した時間帯であるが、「立つ鳥跡を濁さず」の心境と引き継ぎへの注力がボッシュにもうかがい知れるようだった。
ロス市警の未解決事件担当は、実は担当者にとっても名誉ある仕事であるらしい。
未解決事件になるくらいの社会的影響力を持ち、犯罪そのものも殺人・強盗などの凶悪事件であるから。

未解決事件担当刑事はベテランと新人のコンビ、今作でハリーが相手するのはメキシコ系女性ルシア・ソト(別名ラッキー・ルーシー)という新人デカだ。
ルーシーには、子供の頃の犯罪被害トラウマがある、そのために警官になったし、優秀なデカとしてハリーから教えを受けることになる。
ただし、未解決事件解決の発端はDNA検査に代表される科学捜査の結果が多いことから、昔ながらの聞き込み捜査をすることはない。

むろん、根っからの現場重視のハリーはルーシーにアドバイスする 「ドアを叩け」と。
そんな二人の師弟関係が終盤に向けて構築され、ラストシーンで感動に結び付く。

同時に二つの未解決事件を追いかける二人の活躍はシリーズベストとの評価も間違いではないが、定番の「大どんでん返し」は今作では鳴りを潜める。
静かな老刑事の姿がそこにあった。
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