なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議 (2019/7/24)

文字数 672文字

2019年2月20日 第1刷発行、4月25日第5刷発行
編・解説:半藤一利
文春新書



偕行社という陸軍将校の集会所があった、
敗戦後解散していたが1952年に一部有志によって再開され旧陸軍軍人のための親睦、連絡、問い合わせ窓口として、昭和史、太平洋戦争の資料提供をしてきている組織である。
その機関紙「偕行」に掲載された「太平洋戦争開戦の経緯」という座談会をまとめたものが本書である。
この座談会は1976年~1978年にわたる連載だった、
この座談会ですら40年前のことではあるが300万人もの日本人の命が失われたかの戦争が、どのように始められたのか? 
80年前の日本人の精神状態を知っておくのも一興と思い本書を手に取った。

前述のとおり、本書は元陸軍の高級将校の座談である。
ずばり 「海軍善玉説」をあっさりと覆す。
陸軍は対米英戦争には反対だった、戦争を始めたのは海軍の親ドイツ派だと断言する。
マクロでみると、ドイツ頼みで戦争を仕掛けておきながら、国家としての確たる戦争指導計画もなく、やればなんとかなるという見込みで戦争を始めた。
日本特有の自滅願望ということなのか。
開戦奇襲攻撃で有名な山本五十六連合艦隊長官に日本の命運を託したいきさつも、極めて日本らしい。長期的戦略のないハワイ奇襲攻撃を説く長官に、「そこまで言うのなら山本にやらしてみよう」と言って開戦が決まった。
国力、戦力、物力を無視する伝統は、もしかして日本のDNAに深く根付いているのかもしれない。
国を代表する国会、優秀な官僚を無視して国を操作する官邸政治に危惧を覚えるのは、そういうことなのか?
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