三体 Ⅲ 死神永生 (2021/6/9)

文字数 958文字

2021年5月20日 初版印刷 5月25日 初版発行
著者 : 劉慈欣
訳 :大森実、光吉さくら、ワン・チャイ、泊功
早川書房



「三体」三部作が完結した、それも圧巻怒涛の第三部でもって。
「三体Ⅰ」1967年の中国からスタートした物語は「三体Ⅱ 暗黒森林」を経て
本書「三体Ⅲ 死神永生」の1890万年にまで至る度肝を抜く壮大な宇宙ロマンとハードSFの醍醐味を思う存分に愉しませていただいた。

「第三部死神永生」も一部、二部と同じハードカバー400ページ超の2冊で語られており、ハードSF を自認するだけあって僕には難解な理論、単語も多数登場するのだが、これらは今まで通り苦にはならない、なんとなく理解したような気にさせられるのだった、これぞSF小説としての力量だと再度、感心恐れ入っている。

第二部で三体文明との融和交渉が成立実行され、彼らの科学技術を取り入れることで一段の発展を遂げる地球文明だったが、その繁栄を支えるのが宇宙に存在する暗黒のハンターたちから抹殺されるリスクを互いが保有するという脆弱な協定に依存していた。
心もとない均衡が崩れてから、人類の存続は一気に危うくなっていく。
この重厚長大ストーリーをここで繰り返す愚は避けるとして、第三部に登場するキーワードだけ列挙しておく、僕の忘備のために。

■西ローマ帝国滅亡
■愛する人(程心)に恒星をプレゼントする(雲天明)
■密使を核パルス推進で三体に送り込む
■人類の生存を委ねられる執剣者
■三体による人類支配、アーストラリア強制収容所
■壊滅した宇宙艦隊の生き残り「藍色空間」、追跡する唯一の戦艦「万有引力」
■両艦が体験する四次元の歪み
■三体の破壊と、それに伴う地球の危機回避
■暗黒森林からの攻撃を防ぐ三つの方策「掩体計画」、「暗黒領域計画」、「高速宇宙船プロジェクト」
■そのヒントとなる、雲天明から贈られてきた三つの寓話
■掩体計画の死角
■光速恒星間旅行
■新宇宙への旅

第二部暗黒森林のブックレビューで「これで終わりでいいじゃないか、これ以上何ができる?」と記している。
まさかまさか、恒星同士の戦争物語から宇宙の消滅・再生にまで絡めとられるとは想像もしていなかった。
人間、地球、太陽系を大きく超えた果てしない物語、
「三体」はSF史上思索的であって情緒に溢れた空前絶後の作品になった。

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