百万ドルをとり返せ！　（２０１３／９／７）

1976年発表　1977年新潮文庫
著者：ジェフリー・アーチャー　　訳：永井淳　　カバー：池田満寿夫



現代英国小説界ベストセラー作家のジェフリー・アーチャーも今や7３歳。
29歳で議員になったが33歳の時　幽霊会社に投資して全財産を失い政界を引退する。
その詐欺事件の実体験を小説にしたのが本作品。
無論初めての小説なのだが、大ヒットして損金をすべて取り戻す。

物語は騙された4人がチームを組んで、取られた金額ぴったりを取り戻す
一種知的ゲームの妙が面白い。
数学教授、医者、画廊主、そして伯爵御曹司・・・というバラエティとんだメンバーが
それぞれの得意分野で詐欺計画を考える。
作戦は4名が協力して実行するのだが、このあたりがリアリティ薄弱になり苦しいところだ。
それを補うのが、敵役である成り上がり者の大富豪。
ポーランド出身で、自分の才覚だけでのし上がったのだが、
いまだに非合法での凌ぎがやめられない。
4人がこの怪物にどんな手を使って百万ドルをとり返すのか？
4個のミッションインポッシブルを楽しめる。
予想外の展開も、クライマックスのどんでん返しもお約束的であるが、
おしゃれな英国ミステリーという表現がぴったりと似合いそうだ。