エージェント 6 (2016/8/1)

文字数 665文字

2011 年9月1日 発行
トム・ロブ・スミス  訳:田口俊樹
新潮文庫



ソビエト連邦英雄レオ・デミドフの波乱万丈の活躍を超大スケールで描く
シリーズの最終編にして完結編。
第1話「チャイルド44」」では、大祖国戦争直後のスターリン恐怖政治下のモスクワの猟奇殺人を捜査する主人公、
第二話「グラーグ57」では、フルシチョフのスターリン批判に起因する主人公の秘密警察時代の呪い、舞台はシベリア強制収容所から、ハンガリー動乱のブタペスト、
そして、
第3話では時を遡って1950年の主人公の妻ライーサとの出会い、1965年ニューヨークでのライーサの殺害、1980年アフガニスタンで軍事顧問の主人公、ライーサの死の真相を解明するため最後にレオが採った驚くべき行動。
戦後のソ連の大きな変換の節々をテーマの背景にした壮大な物語のクライマックスが本作。
第1作のミステリー色からどんどんとスパイアクションに移行していくテイストを、
通俗化と批判することもできるのかもしれない。
しかしながら、本シリーズの根底にあったのはレオとライーサの夫婦の絆であることを心に留め置くことが本シリーズの接し方だろう。
秘密警察捜査官として罪なき人たちを逮捕してきたという屈折した罪悪感に潰されてしまうレオ。そんな夫の心の闇を優しく包容するライーサ、そのライーサの死を究明しないまでは平安を感じることができないレオ。

物語はアフガニスタンからニューヨークに移り、
レオの執念は妻の死の真相にたどりつけるのか?
西側世界の観点から想像もできなかったソビエト版大河物語、
めいっぱい堪能しました。
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